「成年後見制度」がなぜ必要なのか、それは「判断能力に不安や心配のある方を助けるため」であると言えます。
法律行為について
人は誰しも日常生活の中で、自分自身がそれを「法律行為」であると意識していなくても、あらゆる場面で何らかの法律行為を行っています。例えば、普段のスーパーでの買い物を思い浮かべてください。スーパーに売られているものを買うという行為は、売買契約という法律行為に当たります。

法律行為とは、当事者の意思表示に基づいて法律効果を発生させるものです。買い物の例で言うと、欲しい商品をレジに持って行って「これをください」と店員さんに伝えること、それが意思表示です。「売りたい」と「買いたい」という当事者同士の意思が合致し、お金を払って商品を受け取ることで、意図していた法律効果が発生することになります。
銀行で預金を引き出すこと、アパートを借りる契約をすること、誰かに自分のものをあげる約束をすること等々、日常生活の至る所で法律行為は行われているよニャ。

法律行為が有効に行われるためには、大前提として当事者に判断能力が備わっていること、自分の意思に基づいて行われることが必要となります。つまり、判断能力が十分ではない状態で法律行為を行った場合、ご本人の意思に基づいて行われたとは見なされず、法律効果が発生しない、という事態となってしまう可能性があるのです。
あくまでこれは判断能力が不十分な方を保護するために無効となるのですが、ご本人の意思が尊重されているとは言い難いですし、ご本人を信じて取引をした相手方が思わぬ損害を被ることもあるかもしれません。
前述したとおり、人は誰しも生きていく上で契約などの法律行為は必要不可欠です。それは判断能力が不十分な方であっても例外ではありません。ご本人に代わって有効な契約が行われるようにサポートしたり、ご本人の誤った判断に基づいて行われた契約やご本人が不利益を被る恐れがある契約を取り消したりすることで、ご本人の意思と財産を守り、またご本人の相手方の信頼を保護するために「成年後見制度」が必要なのです。
今後の「安心」のために

ケース① 認知症の診断を受けているA子さん。最近、訪問販売員が次から次に自宅を訪ねるようになり、その度に高価な羽毛布団や健康食品、必要のないものを買ってしまっているようです。後日、そのことに気付いたご家族がA子さんに状況を尋ねても、A子さんはほとんど理解していない様子・・・。
もし、A子さんが事前に成年後見制度を利用していたら、ご本人が制限行為能力者であることを理由に、これらの契約を後から取り消すことができます。

ケース② お一人暮らしで認知症のあるB男さん。日常的に頼れる親族が近くにいません。先ごろ階段で転んで腰の骨を折る大けがをしてしまい、病院に入院することになりました。
もし、B男さんが入院する前に成年後見制度を利用していたら、入院の手続きや病院への支払いに関して後見人のサポートを受けることができます。また、お医者様からの説明を一緒に聞いて、今後の生活について相談することもできます。
現代の社会は、超高齢社会。それに加えて核家族化、家族、親族が必ずしも身近にいてそのサポートをしてくれるとは限りません。
最後にまとめ
「成年後見制度」は、認知症や知的障がい等を理由に判断能力が不十分となってしまった方を法的に保護するために必要な制度です。ご本人の財産を管理することや契約行為をサポートして、不利益な契約や詐欺被害からご本人を守る役割も期待することができます。
